練習ではなく、どんな絵を描くのかという青写真、完成予想図のようなもの。

「画集」やゲームのビジュアルブックなどに必ずといっていいほど掲載されているラフスケッチ。
鉛筆で走り書きしたように見える「落書き」のような絵にはどんな意味があるのでしょうか。

結論からいうとラフスケッチは、
絵を上手く描けない人が練習のために何度も描くものではない、ということです。

ラフスケッチは絵そのものの「練習」ではないのです。

ラフスケッチは練習ではなく、作品の「完成予想図」です。
どんなシーンで、どんな構図で、どんな角度で、という要点を描き出しているのです。

自分の好きな絵師が描いたものであればどんなラフな作品でも魅力的に見えるものです。
そして、「ラフなのだからこれなら自分でも描けそうだ」と考える人が少なくありません。

ですが、この世に「ラフスケッチの描き方」や「ラフスケッチの上達法」というものは存在しません
ラフスケッチに決まったやり方などないし、それを描くこと自体が目的ではないからです。
ラフスケッチそのものを「模倣」しようとする人は案外多いもので、画力の上達という観点からすれば「落とし穴」にハマっているようです。

何度もいうようにラフスケッチは練習や設計図ではなく、完成予想図や、絵を仕上げるための計画、青写真のようなものですから、
それ自体が作品を反映しているわけではありません。ラフスケッチをそっくり模倣することにもほとんど意味がありません。
ラフスケッチを模写することに力を注ぐくらいなら、きちんと完成した作品を模写するべきです。

このことからも、やはりどうしてもデッサンの重要性を強調することになります。
画力のある人のラフスケッチには意味がありますが、これから練習しようという人がそれを模倣しても
ほとんど意味がないばかりか、「ラフに描くこと=完成」という誤った目標に到達してしまいます。
デッサンの経験を積めば、「ラフに描くことを練習しなくても」ちゃんと描けるようになります。

……

「ラフをたくさん描くといい」というのは絵の経験者の言葉であり、練習するときの要点とは違います。
これから絵の練習をするぞ! という段階の人は気をつけたほうがいいでしょう。

(゚∀゚)カエル!