デッサンは何であって何でないか。

デッサンというのは、「基本的なこと」や「絵画における“導入部分”」といった一過性のものではなく、
スポーツにおける「準備運動」のように、絵を描く前に必要不可欠なものです。

たとえば「ウォーキング」や「マラソン」という運動は、「ある場所に到達すること自体が目的」なのではなく、
そうすることで体を鍛えるのと、長時間・長距離のルートをいかに早く走りきるかというのが狙いです。
つまりデッサンもそれ自体が目的ではなく、デッサンを行うことで何を得られるかがポイントになってきます。

何を得られるかというと、「観察眼」です。

デッサン

この白と黒で描かれた絵が「女性の後姿」であることがわかるでしょうか。
これが女性の姿に「見える」とすれば、あなたの「目」は私の描いたのと同じものを「見ている」ことになります。
正確にいうと、このモデルや写真を直接にではなく、私の目を通して見たものをあなたは見ているのです。

それとも単に「白地に黒い帯状のものが横切っている」「天の川かな」と見るでしょうか。
後姿ではなく正面と見るでしょうか。

デッサン

これは上と同じ絵ですが、灰色をところどころに加えています。
右側が「右腕」であることがわかり、腹ではなく「尻」がこちらを向いていることもわかるため、後姿であることが確定します。

このように私が見たものを詳細に描くにつれて、見る人にも詳細な絵が見えるようになるわけです。

デッサン

デッサンは決して難しくなく、「物の観察の仕方」を身につければとても楽しく絵を描くことができるようになるものです。
難しいと感じるのは、あなたがまだ観察の仕方を十分に身につけていないからで、その仕方については教えることができます。

物を「観察」するのも実際に「描く」のもあなた自身ですが、デッサンの要領を身につけるのは一般に難しいとされ、能力のある人であっても教えることは容易ではなく、理論的・体系的にまとめるのがとにかく困難です。
さまざまな書籍やサイトでもデッサンは解説されていると思いますが、必ずしも論理的ではなく、著者の主観で書かれている傾向が強いため、挫折してしまった人も多いのではないでしょうか。

(゚∀゚)カエル!