デッサンというのは、「基本的なこと」や「絵画における“導入部分”」といった一過性のものではなく、
スポーツにおける「準備運動」のように、絵を描く前に必要不可欠なものです。
たとえば「ウォーキング」や「マラソン」という運動は、「ある場所に到達すること自体が目的」なのではなく、
そうすることで体を鍛えるのと、長時間・長距離のルートをいかに早く走りきるかというのが狙いです。
つまりデッサンもそれ自体が目的ではなく、デッサンを行うことで何を得られるかがポイントになってきます。
何を得られるかというと、「観察眼」です。
この白と黒で描かれた絵が「女性の後姿」であることがわかるでしょうか。 それとも単に「白地に黒い帯状のものが横切っている」「天の川かな」と見るでしょうか。 | |
これは上と同じ絵ですが、灰色をところどころに加えています。 このように私が見たものを詳細に描くにつれて、見る人にも詳細な絵が見えるようになるわけです。 | |
デッサンは決して難しくなく、「物の観察の仕方」を身につければとても楽しく絵を描くことができるようになるものです。 物を「観察」するのも実際に「描く」のもあなた自身ですが、デッサンの要領を身につけるのは一般に難しいとされ、能力のある人であっても教えることは容易ではなく、理論的・体系的にまとめるのがとにかく困難です。 |