あすさんは夢を見ていた。


…マビノギの夢である。


場所はカリダ探検キャンプ──


ケルピー「青いドラゴン、レガトゥスは僕の命の恩人です」
あすさん「いつまで青いドラゴンを“人”と呼ぶつもりなのか……」
ケルピー「……」
ベリタ「男?んー…嫌いじゃないわよ」
あすさん「嫌いじゃないということは、好きでもないということだ……」
ベリタ「……」
アルネン「金で売れるなら魂だって売り払っちまうんだがな」
あすさん「金は命より重い……」
アルネン「……」

あすさんはカリダ湖へ上っていった。

レガトゥス「全ての光が…消えた…」
あすさん「じゃあ周りの光が見えるのはなぜ?」
レガトゥス「グルル…」
あすさん「消えたのは一部の光なのではないか?」
レガトゥス「……」


まだ希望の光はある──


あすさんは勝手に納得し、ケルピーから小型熱気球キットと発火石を購入しようとしたが、


インベントリのお金が足りません。


あすさんはアルネンと会話し、金貨を引き出し、再び発火石を購入した。

そしてフライングスターにまたがって空を飛び、温泉地帯を通過し、
火山オオカミのいる付近に着陸した。


インベントリから熱気球キットを取り出し地面に設置すると、一瞬にして熱気球が現れた。

熱気球に乗り、離陸を始めるあすさん。

あすさん「あ!!ワンド忘れた! ペットの中だ…」

熱気球に乗っている状態ではワンドを持っているペットを呼び出すことができないため、
着陸しなければならなかった。

あすさん「なんで30mまで浮上しないと着陸の操作を行えないんだ! すみやかに動いてくれよ……」

熱気球はホウキやペリカンなどの飛行ペットと比べて低速である。
離着陸にも時間がかかり、移動や方向転換も非常に遅い。


着陸したあすさんはペットを呼び出し、ファイアワンドを取り出して装備した。
使い込まれているため耐久力に乏しい武器である。

こうしている間も熱気球は燃料を無駄に消費し続けているため、すみやかに離陸しなければならない。


熱気球に気づいたアイスワイバーンの群れが一斉に戦闘体勢を取り、アイスブレスをチャージして襲いかかってくる。
一方、あすさんはワンドの力でファイアボルトをチェーンキャスティングし、ワイバーンを待ち構えていた。

ワイバーンが先に火を、いや、氷を噴いた。

アイスブレスは熱気球に命中し、あすさんもダメージを受けた。



あすさん「しまった! 全身を氷属性の装備にするのを忘れていた!!」



非常事態である。

アイスワイバーンの攻撃は氷属性であるため、全身9箇所の装備を氷属性で固めることによって
ダメージを常に1に抑えることができるのだが、このとき着替えるのを忘れてしまったあすさんは、
アイスブレスの直撃によって瀕死状態となってしまった。

あすさん「sldkfじゃ;sdfklじゃ;sldfkじゃうぇおぴらうぇいおjdkじゃ;slfかsd」

ワイバーンの執拗な攻撃でライフポーションを飲むことすらできなかったあすさんは、あえなく倒れた。

寒さを感じたあすさんは目を覚ました。

寒いはずだ。
あすさんは体が半分、池の中に沈んでいたからである。


あすさん「ワイバーン…ワイバーン…アイスワイバーン…。明海に助けを求める……」

あすさんは寝ぼけて携帯電話を持ち、いきなり明海に電話をかけてしまう。


明海「え……あすさんから電話…? はい、もしもし!?」
あすさん「Ask Nao for help...」
明海「……………はぁ?」
あすさん「氷属性を忘れた~」
明海「あすさん? いきなりどうしたの?」
あすさん「ワイバーンにやられた~」
明海「ワイバーン???」
あすさん「アイスワイバーン」
明海「アイス……って、今はマビどころじゃないの!」
あすさん「さっきはワンドをペットから出すのを忘れたし~」
明海「もうっ!!なんなのよ!?」
あすさん「ぼっばおぅ~ん…ぼっばおぅ~ん…」
明海「ファイアボルトがなんなのよ~~~~~~!?」
あすさん「アイスワイバーンは……」
明海「アイスバーン!?」
あすさん「バーン」
明海「あ、あすさん!?もしかして、あたしの状況わかってる?」
あすさん「私なら熱気球の上で氷漬けになって倒れてる」
明海「………そっか! この氷を溶かせばいいんだ……!」

画期的な発想が明海の頭に浮かんだ。



アイスバーンを溶かしてしまえばよい──



明海「…ファイアボルトなんてリアルじゃ使えないって言ってんの~~~~~~!!」
男子生徒「なんか叫んでるぞ…」
男子生徒「ほっとけよ…」
あすさん「だったらフレイマ…」
明海「ええい! うるさいっ!!!!!!!」

明海は通話を切った。


明海「あ! そうだ! この学校には熱気球クラブがある…!
 救急車が地上を走れないのなら、熱気球で病院まで運べばいいんだ!」


今度は画期的な発想なのだろうか…。