あすさんの家庭教師 番外編
今日は月曜日。
土日の開放感とは打って変わって倦怠感に襲われる1週間の始まりであるが、
いまだに中学3年の夏休みが続いているあすさんにとっては無関係の曜日であった。
いまだに中学3年の夏休みが続いているあすさんにとっては無関係の曜日であった。
明海「あすさん! 今日は何の日か知ってる~?」
あすさん「ふむ。検索してみるか…」
明海「いやいや、普通に答えてよ」
あすさん「節分かな」
明海「それはちょっと前だね」
あすさん「建国記念日だったか」
明海「惜しい。それは11日」
あすさん「終戦記念日」
明海「もうそれ適当に言ってるでしょ。2月14日といえば~?」
あすさん「214で、にいよんの日」
明海「にいよんって何?」
あすさん「お兄さんのこと?」
あすさん「ふむ。検索してみるか…」
明海「いやいや、普通に答えてよ」
あすさん「節分かな」
明海「それはちょっと前だね」
あすさん「建国記念日だったか」
明海「惜しい。それは11日」
あすさん「終戦記念日」
明海「もうそれ適当に言ってるでしょ。2月14日といえば~?」
あすさん「214で、にいよんの日」
明海「にいよんって何?」
あすさん「お兄さんのこと?」
明海「はあ…もういいわ。ヴァレンタインデーよ!」
あすさん「バイオか」
明海「さあっ! この箱をあすさんにあげましょう~~」
あすさん「箱だけか?」
明海「中身もどうぞっ!」
あすさん「……ずっしりと重い……」
明海「重いでしょう」
あすさん「質量が大きい…」
あすさん「バイオか」
明海「さあっ! この箱をあすさんにあげましょう~~」
あすさん「箱だけか?」
明海「中身もどうぞっ!」
あすさん「……ずっしりと重い……」
明海「重いでしょう」
あすさん「質量が大きい…」
明海「開けてみていいよ!」
あすさん「厳重に梱包されている」
明海「それだけ思いが込められてるのよ!」
あすさん「だから重い……」
明海「過剰包装とか言わないでね?」
あすさん「言わないよ」
明海「……どうしたの?」
あすさん「あまりにも厳重な梱包なので開けられない」
明海「あすさんって不器用なんだ…」
あすさん「ジルみたいに手先が器用じゃないからな」
明海「あたしが開けてあげるわ。…あっ…」
あすさん「手の怪我が治るまでは動かさないほうがいい」
明海「怪我してないほうの手だけで開けられるよ~」
あすさん「だめだ。これは私が開ける」
あすさん「厳重に梱包されている」
明海「それだけ思いが込められてるのよ!」
あすさん「だから重い……」
明海「過剰包装とか言わないでね?」
あすさん「言わないよ」
明海「……どうしたの?」
あすさん「あまりにも厳重な梱包なので開けられない」
明海「あすさんって不器用なんだ…」
あすさん「ジルみたいに手先が器用じゃないからな」
明海「あたしが開けてあげるわ。…あっ…」
あすさん「手の怪我が治るまでは動かさないほうがいい」
明海「怪我してないほうの手だけで開けられるよ~」
あすさん「だめだ。これは私が開ける」
あすさんは不器用な指先を懸命に動かし、箱の梱包を解こうとする。
5分後…
あすさん「このリボンというやつはどうやって結んであるのだ……」
明海「え? こことここを引っ張るんじゃないの?」
あすさん「なんだと……」
明海「ほら」
あすさん「見事だ……」
明海「第一関門突破!」
あすさん「ああ…次はセロテープだ…」
明海「ほんと、過剰包装よね~」
あすさん「自分で言うのか……」
明海「ええ、まぁ~」
明海「え? こことここを引っ張るんじゃないの?」
あすさん「なんだと……」
明海「ほら」
あすさん「見事だ……」
明海「第一関門突破!」
あすさん「ああ…次はセロテープだ…」
明海「ほんと、過剰包装よね~」
あすさん「自分で言うのか……」
明海「ええ、まぁ~」
突然あすさんの手が止まる。
あすさん「……なるほど……」
明海「え? 今度は何??」
あすさん「これは明海の手作りではないんだな……」
明海「ああ~~~~~…うん、そうだよ」
あすさん「…そうか…まぁ、その手の怪我ではな……」
明海「なになに? もしかして期待してたり??」
あすさん「うむ。そうだ。これほど落胆するということは、間違いなく期待している」
明海「何に期待?」
あすさん「チョコレート」
明海「わかってるじゃないの!!あすさん!!」
あすさん「わかってるよ」
明海「わかってないから言ってるのよ!」
あすさん「いや、本当にわかってるよ」
明海「んも~~~~~」
明海「え? 今度は何??」
あすさん「これは明海の手作りではないんだな……」
明海「ああ~~~~~…うん、そうだよ」
あすさん「…そうか…まぁ、その手の怪我ではな……」
明海「なになに? もしかして期待してたり??」
あすさん「うむ。そうだ。これほど落胆するということは、間違いなく期待している」
明海「何に期待?」
あすさん「チョコレート」
明海「わかってるじゃないの!!あすさん!!」
あすさん「わかってるよ」
明海「わかってないから言ってるのよ!」
あすさん「いや、本当にわかってるよ」
明海「んも~~~~~」
再び楽しそうに手を動かし始めるあすさん。
あすさん「つまりこれは明海の手作りではなく、既製品を過剰に包装してもらったものということか」
明海「その通りです。すみません」
あすさん「謝らなくてもいい。また来年もある」
明海「へへ…あすさん、それってメチャクチャ嬉しいんだよね~。調子狂っちゃうな~」
あすさん「…ついに封印が解けたぞ」
明海「おおっ!!」
明海「その通りです。すみません」
あすさん「謝らなくてもいい。また来年もある」
明海「へへ…あすさん、それってメチャクチャ嬉しいんだよね~。調子狂っちゃうな~」
あすさん「…ついに封印が解けたぞ」
明海「おおっ!!」
丈夫な厚紙と梱包材の中から、光を放つハート型のチョコレートが姿を現した。
あすさん「素晴らしい。こんな上げ底になっているとは」
明海「ねえねえ…それって褒めてないでしょ?」
あすさん「次に一礼して……」
明海「聞いてる? あすさん?」
あすさん「食べてもいいのかな?」
明海「どうぞっ!」
明海「ねえねえ…それって褒めてないでしょ?」
あすさん「次に一礼して……」
明海「聞いてる? あすさん?」
あすさん「食べてもいいのかな?」
明海「どうぞっ!」
茶色で光沢のあるハートの形をしたチョコレートを口に入れるあすさん。
あすさん「チョコレートの味だ」
明海「当たり前でしょ?!」
あすさん「アルファベットチョコとは比べ物にならない」
明海「それがあたしの気持ちですっ!」
あすさん「このチョコレートが明海の気持ち」
明海「そうです!」
あすさん「明海の気持ちがチョコレートという形に変わったものを、私は食べている」
明海「そうそう!」
あすさん「気持ちが具現化したということだな」
明海「そうよ~!」
あすさん「愛がチョコレートになったのだ」
明海「ちょ……」
あすさん「だが、その逆、チョコレートという物質そのものが愛になることはありえない…」
明海「うんうん。そうだよ! わかるわかる!!」
あすさん「つまり──…」
ドレン「錬金術を通じて物質を変化させることより人の心を変化させることのほうが難しいものです」
あすさん「( ゚д゚ )」
明海「( ゚д゚ )」
明海「当たり前でしょ?!」
あすさん「アルファベットチョコとは比べ物にならない」
明海「それがあたしの気持ちですっ!」
あすさん「このチョコレートが明海の気持ち」
明海「そうです!」
あすさん「明海の気持ちがチョコレートという形に変わったものを、私は食べている」
明海「そうそう!」
あすさん「気持ちが具現化したということだな」
明海「そうよ~!」
あすさん「愛がチョコレートになったのだ」
明海「ちょ……」
あすさん「だが、その逆、チョコレートという物質そのものが愛になることはありえない…」
明海「うんうん。そうだよ! わかるわかる!!」
あすさん「つまり──…」
ドレン「錬金術を通じて物質を変化させることより人の心を変化させることのほうが難しいものです」
あすさん「( ゚д゚ )」
明海「( ゚д゚ )」
ドレンの突然の乱入に驚く二人。
あすさん「下着おばさん……」
明海「どこから沸いて出た!?」
ドレン「? ?????. ????? ???? ?? ???.」
あすさん「……何を言っているのかわからない……」
ドレン「まだ何か必要な物があるのかしら? 何でも言ってちょうだいね」
明海「チョコあげるから帰ってください!」
明海「どこから沸いて出た!?」
ドレン「? ?????. ????? ???? ?? ???.」
あすさん「……何を言っているのかわからない……」
ドレン「まだ何か必要な物があるのかしら? 何でも言ってちょうだいね」
明海「チョコあげるから帰ってください!」
あすさん「このチョコレート……錬金術で作ったのか?」
明海「ああ~~~もうっ!!!最悪だわ~~~~~」
明海「ああ~~~もうっ!!!最悪だわ~~~~~」
番外編 おしまい