男性よりも「繊細な」観察と描画が求められるため。

「性的なものを描きたいから」というのは小中学生レベルの認識であり、
その本質はあまりにも違っています。

デッサン

少し絵を描いた経験のある人に共通しているのは、
男性の顔や体は丹念に描写すればリアルになるけど、女性はそうはいかない…
ということです。

だからといって「女性を描くのが男性よりも難しい」というわけではありません。

それは観察の仕方にも問題がありますが、観察よりも表現の仕方、描画の仕方に問題のあることが多いのです。

骨格や筋肉の様子を注意深く「観察」し、忠実に描き出そうとするあまり「女性らしさ」が失われるという
矛盾や葛藤が生じやすく、いつの間にか男性のようなデッサンになってしまうことがあります。
特に顔を描く場合に顕著で、陰影やしわを描けば描くほど「男」のようになり、目も当てられなくなってしまいます。

なかなかいい表現が思い浮かばないのですが、力強いタッチで丹念に描写すればするほど男性になるのに対して、
女性はいくらかタッチを弱め、描写を控えめにし、省略化に専念するほうが上手く描けます。

デッサン

それで女性を描こうとする場合は、やはり女性のモデルを頼りにデッサンすることが最善です。
陰影や凹凸を観察したときに、くれぐれも「強調しない」ように意識してみましょう。
言葉で説明しても難しいと思います。
陰影がハッキリと見えても、そのハッキリしたままを描くと、女性らしさが失われてしまうのです。

デッサン

ただし!!ここでデッサンに関して注意しなければならないのは、
女性に限らず、人物画の雰囲気というのは「時代」によって異なっていて、
ある時代には魅力的なスタイルでも、別の時代にはそうではないことが多々あるということです。

たとえば今日、中世ヨーロッパの「太ましい裸婦」や、目のつり上がった「浮世絵の女性」に魅力を感じる人は少ないと思います。
どんなにデッサンを正確に押さえても、実際に描かれる雰囲気が時代に適合していない絵はそうなってしまうのです。

デッサン

もう一つ重要なのは、「萌え絵」や「ある時代・ある分野に定着した絵」というのは、実はデッサン自体には基づいておらず、
「そう見えるように描く方法」が示されているに過ぎないため、気をつけていないと罠に陥ります。

そういう絵がいいか悪いか、という問題ではありません。
観察に基づいて描く(デッサン)のではなく、ただ「見る人にそう見える」ように描くという手段が、
実際のところ観察力を低下させ、絵の幅を狭めているということを懸念しているのです。

デッサン

それが「完成された作品」であるならともかく、現実は「ただそれのみを描いていれば生きていけるほど甘くはない」ため、
さまざまな対象を、要求に沿った仕方で描き上げることができるかどうかが重要になってきます。

繰り返しになりますが、女性のデッサンは「難しい場合が多い」です。
だからデッサンをあきらめ、トレースや、形式的な表現を追求することについつい逃げたくなってしまいます。
しかし、自分の苦手なものに取り組んでいかなくては、ますます難しくなってしまいます。

(゚∀゚)カエル!