会社組織で「自分の好きなものを描く」ことは基本的にできない。

「自分は絵を描くことが好きだから、ゲームやアニメーションの会社に入れば満足だ」
と考えている人は非常に多いです。
その考えは甘い、いいえ、見当違いなのです。

自分の好きな絵、得意な絵、人に見せたい絵が、必ずしもその会社の意向に沿っているとは限りません。
もし社員がみな自分の思い思いの絵を描いていたら、会社として制作している作品は統一性を失ってしまいます。

これまで何度も「デッサン」を強調してきましたが、その理由の一つがここにあります。

組織として一つの作品を制作するには、それに携わる一人一人が共通した、狂いのない、効率的な作業を
最初から最後まで一貫して行わなければなりません。

「原作はこうだけど、自分はもっとこうしたほうがいいと思うんだよね」
などと言ってはいられないのです。
自分で工夫した絵を描きたければ、会社には入らずフリーで活動するしかありません。

全体的なバランスはもちろん、細かい部分に至るまで、自分で勝手に工夫してはいけないのです。

「もっと個性を出したい」
そんな人は真っ先に首を切られてしまうでしょう。

どのような業種であれ、会社で仕事をするというのはチームワークなのです。
自分の好きなことを行っていればいいという世界ではありません。
どんなに絵が上手くてもチームワークを乱すような仕事しかしない人は、会社には不要なのです。

では、デッサンのできる人はどうでしょうか?
デッサンとは、何でも「見たまま」に「正確」な描写をする能力だということは何度も説明しました。
「自分なりに描く」のではなく、「忠実に描く」ということでもあります。
制作に携わる人がみな忠実に描くなら、完成する作品にはしっかりした統一感が表れます。

会社はそのような人材を何よりも求めているのです。

「自分なり」のイラストや、3DCGや、物語がどんなにハイレベルな仕上がりだとしても、
チームワークで制作を行う以上、個人の才能よりも、集団行動の素質のほうが重要視されるのは当然です。
「コミュニケーション」といっても過言ではないものです。

優れたデッサンの技能を持っていれば、仕事でもその忠実さや再現性の高さを見込まれます。
会社はそれを必要としているからです。
どんなモチーフでも素早く忠実に描写できる能力こそ、会社で絵を描いていくには必要なのです。

………

もし自分の好きなことだけを仕事にしたければ、デッサンを重要視する必要はないと思います。
極端な話、「デッサンが狂っていようがいまいが、これが自分の作品である!」と胸を張ればいいのです。
人の言うことなど無視すればよく、「裸の大将」と言われても気にしないことです。

そうなりたくなければ、今すぐパソコンを置いて紙と鉛筆を持ち、何でもいいのでデッサンに取り組みましょう

(゚∀゚)カエル!